「転職しようかな」と思ったとき、多くの工場勤務者が気になるのが退職金の額です。
勤続年数が長ければ長いほど、退職金の金額は大きくなります。でも実際にいくらもらえるのか、正確に把握できている人は少ないでしょう。
この記事では、工場・製造業の退職金の相場、計算方法、転職前に確認しておくべきポイントを解説します。転職のタイミングを間違えると数十万円の差が生まれることもあります。しっかり確認してから動きましょう。
工場勤務(製造業)の退職金相場はいくら?
まず気になるのが「うちの会社は退職金がいくら出るのか」という点です。
厚生労働省の「就労条件総合調査」(2022年)によると、退職金の相場はおおよそ以下の通りです。
勤続年数別の退職金相場(自己都合退職・製造業)
- 勤続3年:50〜100万円
- 勤続5年:100〜200万円
- 勤続10年:200〜400万円
- 勤続20年:500〜800万円
- 勤続30年以上:800〜1,500万円以上
ただし、これは大企業・中堅企業の平均値です。中小製造業の場合は規模が小さくなります。
中小企業と大企業の退職金の差
- 従業員300人以上の大企業:勤続10年で平均350〜500万円
- 従業員30〜99人の中小企業:勤続10年で平均150〜250万円
- 従業員30人未満の小規模企業:そもそも退職金制度がないことも多い
自分が勤める工場の規模と退職金規定を確認することが最初のステップです。就業規則に退職金に関する規定が必ず記載されています。人事部や総務部に「退職金規定を見せてほしい」と依頼するのが確実です。
工場の退職金の計算方法は?基本的な計算式を解説
退職金の計算方式には主に2種類あります。大半の中小製造業は「基本給連動型」を採用しています。
①基本給連動型の計算式
もっとも一般的な計算方式です。
- 退職金=基本給 × 勤続年数係数 × 支給率
例えば、基本給25万円・勤続10年・自己都合退職の場合の計算例です。
- 基本給:25万円
- 勤続年数係数:10年分(会社規定による。例:10倍)
- 自己都合退職の支給率:70〜90%(会社規定による)
- 退職金:25万円 × 10 × 0.8 = 200万円
会社都合退職(リストラ・倒産など)の場合は支給率が100%以上になることもあります。自己都合の場合は70〜90%が一般的です。
②ポイント制退職金制度
近年は「ポイント制」を導入する企業も増えています。勤続年数・職位・評価によってポイントが積み上がり、退職時に「ポイント × 単価」で計算します。大手製造業に多い制度です。
③中小企業退職金共済(中退共)
中小企業の場合、国が運営する「中退共」に加入していることがあります。会社が毎月掛け金を払い、退職時に独立行政法人から退職金が支払われる仕組みです。
掛け金は月5,000〜30,000円で、勤続年数に応じた金額が支払われます。中退共加入の会社は、掛け金が少なくても安定した退職金が保証されるのがメリットです。
退職金はいつもらえる?支払いタイミングを確認
退職金の支払いタイミングは法律で定められていませんが、多くの会社は退職後1〜3ヶ月以内に支払います。
ただし、会社によっては以下のような条件があります。
- 退職後2ヶ月以内に一括払い(多くの中小企業)
- 退職後6ヶ月以内に分割払い(資金繰りが厳しい企業)
- 定年退職時のみ一時金、中途退職は年金形式
転職活動中の生活資金として退職金をあてにしている場合は、支払いタイミングを事前に確認しましょう。「退職後3ヶ月後に入金」という会社の場合、その間の生活費を別に用意する必要があります。
退職金がもらえないケースとは?注意点を解説
退職金は「必ずもらえる」ものではありません。以下のケースでは退職金が減額または支給されないことがあります。
①勤続年数が規定未満の場合
多くの会社では「勤続3年未満は退職金なし」という規定を設けています。入社して2年目で辞めると退職金がゼロになるケースは珍しくありません。転職を考えているなら、退職金が発生する勤続年数を超えてから動くのが得策です。
②懲戒解雇・重大な規律違反の場合
横領・不正・ハラスメントなどで懲戒解雇になった場合は、退職金が全額または一部カットになります。
③退職金制度自体がない会社
中小製造業、特に従業員数が少ない会社では退職金制度を設けていない場合があります。就職・転職時に退職金規定の有無を確認するのは非常に重要です。
退職金を転職前に最大化するためにやること
退職金を最大限もらうために、転職前にやっておくべきことがあります。
①退職金規定を必ず事前に確認する
就業規則の「退職金規定」の章を読みましょう。特に確認すべきは以下の点です。
- 退職金の計算方式(基本給連動型か、ポイント制か)
- 自己都合退職の支給率(勤続年数別に違う場合が多い)
- 退職金が発生する最低勤続年数
- 支払いタイミング
②退職のタイミングを計る
退職金の支給率が変わるタイミングが必ずあります。例えば「勤続5年未満:70%、5年以上:80%」という規定なら、5年目の直前と直後では退職金に大きな差が出ます。あと数ヶ月で支給率が上がるなら、そのタイミングまで在籍する価値があります。
③iDeCoとの組み合わせで節税する
退職金は「退職所得控除」で大幅に税金が安くなります。勤続年数20年以下は年40万円、20年超は年70万円が非課税枠となります。さらにiDeCoの受け取りも「退職所得」として扱われるため、退職のタイミングを合わせると節税効果が高まります。
ただし同年に退職金とiDeCoを受け取ると枠の扱いが変わるため、税理士や会社の担当者に確認することをおすすめします。
転職先の退職金制度も確認しよう
転職先でも退職金制度の有無は重要なチェックポイントです。
求人票や面接で「退職金制度の有無」「勤続何年から対象になるか」を確認しましょう。転職エージェントを使うと、求人票に書いていない待遇面の情報も教えてもらえることがあります。
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まとめ:退職金を確認してから転職を動き出そう
工場勤務の退職金についてまとめます。
- 製造業の退職金相場は勤続10年で150〜500万円(規模による)
- 計算方式は基本給連動型・ポイント制・中退共の3種類
- 勤続年数が退職金に大きく影響する。支給率の節目を確認すること
- 勤続3年未満では退職金が出ないケースが多い
- 転職前に就業規則の退職金規定を必ず確認する
退職金の確認を怠ると、転職のタイミングを間違えて数十万円を損するケースがあります。「辞めたい」と思った瞬間から動くのではなく、まず就業規則を確認してから転職のスケジュールを組みましょう。
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